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小津安二郎の映画



大人の見る繪本
生れてはみたけれど
 ★★
1932年(昭和7)6月3日公開/90分
モノクロスタンダード無声/松竹蒲田
原案 ゼェームス・槇 脚本 伏見晁
 監督 小津安二郎
撮影・編集 茂原英雄 撮影補助 厚田雄春
 舞台設計 角田竹次郎
出演-斎藤達雄・吉川満子・坂本武・菅原英雄・突貫小僧
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1932年・昭和7年に公開された小津安二郎29歳の時のサイレント映画。
キネマ旬報第一位の傑作。

「東京の合唱」の子役菅原英雄が再び長男として配役され、その弟を突貫小僧が演じている。
小津は3年前の1929年に子役の青木富夫主演で「突貫小僧」という題名の喜劇を監督。
青木はこれをきっかけに人気子役となり、以後「突貫小僧」を芸名とした。

子供達の上下関係を、当時流行ったであろうヒーローの仕草を真似る事によって、表現しているのが素晴らしい。
無声映画故に、言葉ではなく映像のみの表現で関係性を認識させる。今現在でも世界中の観客が一瞬にして理解できるだろう。

かなり緻密に計算された、兄よりいつも半テンポ遅れて動く弟・突貫小僧への演出が素晴らしい。
憎ったらしく手足を横に上げる動作も大笑いさせられる。思うままに子供を動かす小津の演出力は、天才的だ。

画面では、電車の横切りが頻繁に出てくる。また踏切のシーンも多い。
後年の「麦秋」での踏切シーンを思い出さずにはいられない。小津は基本的に動きのある電車が好きだろうと思われる。

また移動画面を使ってのシーン替わりを、かなり意図的に使っている。
子供達の学校での右方向への移動カットから、そのまま会社内の同じ右方向の移動カットへと繋がり、
そのシーンの終わりには逆の左移動が始まり、同じ左移動の学校のシーンへと戻っていく。

またこの映画でも、相似形で感情を表すカットが多い。
喧嘩している兄弟に親父が近寄る。無視する兄弟。握り飯を持った親父が、兄弟2ショットの画面に入ってきて相似形の3ショットとなる。やがて弟が握り飯を掴み、兄も食べだす。3人の姿が同じ形となった時、和解が生まれる。

テーマ的には「生れてはみたけれど」と嘆くほどの閉塞感は感じられない。
「落第はしたけれど」「大学は出たけれど」など一連の「・・・けれど」シリーズの一環としてのネーミングに思える。

「お金」を持っているか無いかで階級が決まり、お金持っている人に対しては頭を下げなければお給金を貰えないという、
当時の不況社会でのペシミズムとアイロニーが通底している、小市民映画の名作。

この1930年代初頭、フロンティア精神を基調とした、ダイナミズム溢れる映画を撮っていたジョン・フォードでもなく、
画面から目を離させないサスペンスとユーモアを融合させた映画を撮っていたヒッチコックでもない、
日本の小津はひたすら低位置から、庶民目線での悲哀を画面に焼き付けていた。

以下wIKIより転載
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『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』は、1932年(昭和7年)6月3日公開の日本映画である。
松竹キネマ製作・配給。監督は小津安二郎。モノクロ、スタンダード、サイレント、90分。

小津監督のサイレント期を代表する傑作で、サラリーマン社会の悲哀を子供の視点から描いた喜劇映画である。
小津作品の特徴であるフェードイン・アウトを使わずに固定したカットでつなぐ場面展開はこの作品によって決定付けられた。
第9回キネマ旬報ベスト・テン第1位。

作品解説
本作は1930年代にサラリーマン階級の日常や庶民感情を描いて流行した小市民映画の代表作であり、
サイレント期に小津の評価を決定づけた作品でもある。

撮影は1931年(昭和6年)11月に開始されたが、撮影中に子役の菅原秀雄が怪我をしたため一時撮影を中止し、その間に新人俳優の城多二郎を売り出す正月映画『春は御婦人から』の撮影にかかっている。しかし、それが城田の病気で中断すると、また本作の撮影を行っている。

撮影に出てくる電車の路線は池上線であり、電車が通るころあいを見計らってカメラを回したという。

本作のフィルムは、松竹所有のオリジナル版と、後年マツダ映画社によって松田春翠による活弁と音楽が挿入された「マツダフィルムライブラリー」版が現存する。

ランキング
1959年:「日本映画60年を代表する最高作品ベストテン」(キネマ旬報発表)第3位
1979年:「日本映画史上ベスト・テン」(キネマ旬報発表)第17位
1989年:「大アンケートによる日本映画ベスト150」(文藝春秋発表)第31位(サイレント映画としてトップ)
1995年:「日本映画 オールタイムベストテン」(キネマ旬報発表)第52位
2009年:「オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇」(キネマ旬報発表)第59位[4]




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